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株主・投資家の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社グループの2018年3月期連結決算は、新造船における厳しい事業環境に直面し、約30年ぶりに経常赤字を計上しました。オイルショック、プラザ合意に端を発した円高による造船不況当時には、当社グループの事業構造は造船事業に偏重していましたが、その後の多角化戦略の進行により、現在では陸上・レジャー事業が「第2のコアビジネス」として成長してきています。
本年4月には、陸上・レジャー事業を「M&T (Machinery & Technology)事業」として統合しました。
代表取締役社長 上田 孝

2012年にホールディング体制に移行して以来、各事業会社に課してきた「自立と自律」、即ち各社の事業と体制の充実は果たされたと考え、次の段階として各事業会社を束ねたグループ全体としての強化を図ることを狙いとするものです。統括会社であるサノヤス MTG鰍司令塔として、経営管理、技術・製品開発、設備投資を強力に進め、収益力の増強を図ります。
 造船事業においては、新しい環境規制に適合した新設計船の受注活動を強化すると同時に、設計・製造・購買の全ての活動における原価低減に注力します。また、各種作業船やフェリーなどへの船種拡大、舶用LNG燃料供給システム等の新分野進出などプロダクトミックス戦略を強化してまいります。

1.円高、鋼材価格高騰が響き経常赤字に
2018年3月期の連結業績は、売上高が47,455百万円(前期比10.6%減)、営業損失が3,160百万円(前期は904百万円の営業利益)、経常損失が3,145百万円(前期は863百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が4,260百万円(前期は2,446百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
造船事業において、新造船は新たに2隻を受注した一方、9隻を引渡したことにより、受注残は16隻となりました。また、受注環境の厳しい新造船を補うべく鋭意営業活動を進めた修繕船や舶用LPGタンクは、順調に受注・売上を伸ばしました。
陸上事業においては、特に精密機械加工の売上が伸びたほか、建設工事用エレベーターなどが伸長しました。また、津波救命艇やテロ対策用車止め装置など新商品の拡販に注力しているところです。レジャー事業においては、国内の遊戯機械の部品販売や修繕などが好調に推移しました。
利益面については、新造船受注残の将来の採算を3月末時点における円ドル為替及び鋼材価格に基づいて評価した結果、約24億円の受注工事損失引当金繰入れが必要になったことにより、大きな経常損失となりました。
また、豪州観覧車について、豪州経済の低迷と周辺商業施設の整備の遅れを踏まえ、今後の収益性を保守的に見積もり、固定資産の減損損失を計上しました。

2.造船事業:多様化を図るとともに、原価低減を徹底
造船業界は、オイルショック、プラザ合意による円高以来、戦後3回目の低迷期に直面しています。船腹及び製造設備の2つの過剰が今なお解消されず、厳しい事業環境は当面続くものと考えられます。
このような環境のもと、新造船分野では、NOI排出3次規制やH-CSR(共通構造規制)などの新たな環境規制を踏まえ燃費性能を向上させた82千重トン型パナマックス・バルクキャリアーに加え、64千重量トン型スプラマックス・バルクキャリアーを開発し、営業を展開しています。環境規制の強化は、環境技術で強みを持つ当社にとって大きなチャンスと捉えています。ただ、そのためには品質と性能はもちろんのこと、併せてコストダウンを進めていかなければなりません。現在、設計から建造工程に至るまで原価低減を図るとともに、会議の時間を短縮したり、出張を削減するなどこれまでの仕事の進め方・働き方をゼロから見直しているところです。ムダを見直し、生産の効率化の徹底によりコスト競争力を向上させることで、受注獲得につなげていきます。
新造船分野ではこれまで注力してきたバルクキャリアー以外にフェリーや特殊船・作業船など新造船の建造メニューの多様化を図っています。さらに、新造船分野を補完すべく、本年度に初受注を果たした舶用LNG燃料供給システムのさらなる需要拡大を目指すほか、将来予想される内航LNGタンカー需要に向けて、小型LNG輸送船のカーゴシステム開発に着手しました。こうしたプロダクトミックスにより外部環境の変化に耐えることのできる事業体質を構築していきます。
年度末の新造船受注残高は約2年半分に当たる16隻に抑えましたが、新年度は様子を見ながら増やしていこうと考えています。

3.M&T事業:束ねることで個の力を伸ばす
2012年に持株会社へ移行して以降、陸上・レジャー事業を造船事業に次ぐ「第2のコア事業」と位置付け、それぞれの自立と自律を促してきた結果、当期はほぼ全ての事業会社が黒字を計上するなど成果が表れています。
今般、陸上・レジャー事業をさらなる成長・発展・拡大のステージへと導くためM&T(Machinery & Technology)グループとして再編を図りました。中間持株会社のサノヤスMTGがグループ12社それぞれに横串を通し、安全推進に始まってものづくり、経営管理、技術開発、新製品開発、IT・システム技術の導入に至るまでグループ全体を見渡す視点からサポート・強化を図ることによって、成長拡大を図ります。また、グループ各社からカテゴリごとに参加者を集めた「ものづくり塾」を開き、効率的な人財の成長を図ることにより、ものづくりの現場力の強化を目指します。例えば各工場の工場長を集めた「工場長塾」を開催し、各工場の運営方針の統一と理論に基づいた工場運営の徹底を行うことなどにより、事業効率を上げる取り組みを進めていきます。さらに、グループ化により各社を束ねることで“財布”も大きくなり、従来それぞれの事業会社単体ではできなかった大きな投資、例えば新工場の建設なども可能になります。
日本の経済を根底で支えている中小企業は今、後継者・人財の確保に苦しんでおり、多くの中小企業が廃業の危機に直面しています。 M&Tグループにおいてはそれぞれに強みを持った事業会社を束ね、また強みを持った中小企業のM&Aにも取り組みながら、大きな視野で必要なところに必要なタイミングで必要な投資をしていく中小企業の連邦経営のような姿を目指して、進んでいきたいと考えています。

4.当社の強みを活かし、厳しい環境を勝ち抜く
低迷期に直面し、当期の決算は厳しい数字になりましたが、私はまったく悲観していません。会社が造船事業のみに頼っていた過去の事業構造とは異なり、現在はM&T事業がもう一つの柱として成長し、バランスが良くなっているからです。9年前の社長就任時に約11%だった自己資本比率も現在では20%弱となり、地力を蓄えつつあります。
また、サノヤスグループには何より「人財力」があります。毎年安定した数の新卒採用を行い、人的備えに努めてきた結果、サノヤスグループには強靭かつ柔軟なベテランの人財と素直で元気あふれる中堅・若手の人財がそろっていることが大きな強みです。これまで継続してきたトップを交えた社員研修を現場・若手へと広げていきながら、全社で危機感を共有し、これまでの仕事の進め方・働き方を見直していくことでピンチをチャンスに変え、業績回復に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。

なお、次期の連結業績見通しにつきましては、1米ドル105円を前提として売上高46,000百万円、営業損失800百万円、経常損失800百万円、親会社株主に帰属する当期純損失800百万円を見込んでいます。
(決算に関する詳しい内容については、2018年5月11日に開示した「2018年3月期 決算短信」をご覧ください。)

株主・投資家の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援を賜りますよう、何卒、宜しくお願い申し上げます。
2018年6月
サノヤスホールディングス株式会社
代表取締役社長